私と慎也さんの目の前には、この前と同じ様な豪華な食事が。
私は、慎也さんがこの前同伴してくれたから時から思っていた事を聞いてみた。
「どうして、まだ会って間もない私に高いシャンパンや、チップをくれたりしたんですか?」
と。
慎也さん『嫌だった……かな?』
眉毛を少し下げたように私に聞き返してくる。
「あっいや、凄く嬉しかったです。嬉しかったからこそ……何でまだ人として未熟な私にそれほどまでしてくれるのかな……って」
新規のお客様を捕まえる為に出会い系アプリを使った。
売上にもなったし、指名の本数にもなった。同伴も出来た。
なんなら、チップも貰った。安くはない金額。
「まだ……私達、出会ったばかりなのに……こんなにしてもらっちゃっていいのかなって。」
そう、私が本当に聞きたかった事。
慎也さんの行動の本心を知りたい。
後から面倒な事になっても困るしね。
慎也さんは私の質問を聞くと、持っていた箸を置き、口を開いた。
慎也さん
『前も言ったけど、自分の学生時代に似ていたんだよ。お金が無かったんだよね、当時の僕も。』
慎也さんはそれだけ言うと、また、箸をすすめ始める。
自分に似ている……か。確かに私の家はあまり裕福ではない……。
というよりかは貧乏だ。
確かにこの前何十万も使ってくれた時、そう私に言ってくれた。
でも、でも……それだけでまだ出会って間もない私にそこまでする……?!
何とも言えない気持ちになり、私はその日、あまり食事が進まなかった。

その日も慎也さんは同伴をしてくれた。
『シャンパンを頼もう』
と、言ってくれたが、心のモヤがまだ晴れず、「今日は大丈夫だよ」
と軽く微笑んで断った。
慎也さんは、じゃあその分長く居るね、と言ってくれた。
結果、ラスト……お店の閉店時間までいてくれた慎也さん。
私のこの心のモヤは、何だろう。
同情でお金を恵んでもらっている事が嫌なのかな。
文句とか言える立場じゃないのに、こんな事をモヤモヤと考える自分がすごく嫌だ……
前回貰った10万円のチップが入った封筒を握り締め、私はその日眠った。
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