凄く最初は緊張した。
初めて会うその人は、慎也さん。
後に私のパパになる人。
慎也さんは、キチっとした身なりで、スーツをビシっと着こなしていて、嫌味にならない程度の高そうな、品のいい腕時計を身に付けていた。
歳は40代前半。
20代の私からしたら、自分の親と同じくらいの相手……
でも何故かその人に抵抗が無かった。
アプリで色んな話をしたからだろうか?
私達は元々知り合いだったかのように楽しくお話することが出来た。
慎也さんの人柄だろうか、私は自然と心を許していて、プライベートな事も掻い摘んでだが話し始めていた。
慎也さんが居たのは2セット。約2時間だがその間凄く楽しかった。
本来ならキャストである私が慎也さんの事を楽しませなければいけないのに、逆に私が楽しまされてしまった(笑)
帰り際、慎也さんが私に
『明日は同伴というものをしましょう。銀座に私の行きつけのお店があるのです。』
と言ってくれた。
次の日、私は出勤する予定ではなかったけれど、急遽出勤予定に変更し、慎也さんと銀座でご飯を食べた。
「わ〜♡凄い美味しそう!歌舞伎町とは比べ物にならない!♡」
と、私は純粋に目を輝かせていたと思う。
『他のお客さんとはこういうお店には来ないのですか?』
と、慎也さんはクスクス笑いながら私に聞いてきた。
「お恥しい話し、上京してから初めて銀座に来たんです(笑)歌舞伎町でも、お客様とご飯に行く時はチェーン店が多いので……」
と、自分のはしゃぎ様を照れ、反省しながら慎也さんに言った。
『いいんですよ、確かご実家の事情で苦労されてるんでしたよね。』
と、アプリのトークで話した私の家庭の事情。
『今日は好きなものを好きなだけ食べてください』
と、神様か!!と言いたくなる様な優しさで慎也さんに言われた。
この時から、異性としではなく、人として惹かれていったんだと思う。

私達はひと通り食事を終えると、
タクシーを捕まえ、歌舞伎町の私のお店に向かった……
最初は戸惑っていた出会い系アプリだけど、変な人も確かに居たけれど……
慎也さんと出会えたし、やっぱりやってよかったのかな……って、
私はそう思えた。
慎也さんが何故、出会い系アプリに登録していたかなんて考えもせずに……
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